思い立ってすぐ富士山に登れる時代は終わった?吉田ルートの新しい決まり
10月の河口湖から見る富士山は、山頂がうっすら白くなり始めています。紅葉越しのその姿を見て、来年の夏こそ登ってみたい、と思う人も多いはずです。
日本一の山でも、吉田ルートなら五合目までバスで行ける。
仕事が終わった金曜の夜に出発して、夜通し登ってご来光を見て、土曜のうちに下りてくる。休みを取らずに、宿代もかけずに登れる。少し前まで、そんな「弾丸登山」は珍しくありませんでした。
この登り方は、今の吉田ルートではもうできません。
五合目に、ゲートがある
山梨県側の吉田ルートでは、2024年から登山者の通行を管理するゲートが設けられています。
2026年の夏のルールは、次のとおりでした(山梨県 令和8年度の富士登山について)。
| 項目 | 2026年の内容 |
|---|---|
| 通行料 | 1人1回 4,000円 |
| ゲートが閉まる時間 | 14時〜翌3時(山小屋に泊まる人を除く) |
| 1日の登山者数 | 4,000人に達するとゲートを閉鎖 |
| 予約 | 富士登山オフィシャルサイトで事前予約(当日も可) |
| 登山シーズン | 7月1日〜9月10日 |
夕方に五合目に着いて、夜通し登る。この計画は、14時から翌3時までゲートが閉まることで成り立たなくなりました。夜に登れるのは、山小屋に泊まる予約がある人だけです。
「泊まらない」が、いちばん高くつく
宿代を浮かせるつもりの弾丸登山は、今のルールではむしろ選びにくい登り方です。
- 夜の時間帯に五合目を通るには、山小屋の予約が必要
- 日中に登り始めて、日帰りで下りてくることはできる。ただし、山頂でご来光を見ることはできない
- ご来光を見たいなら、山小屋に1泊する計画を最初から立てる
通行料の4,000円に加えて、山小屋の宿泊費も予算に入れておく。夏の富士山は、そういう山になりました。
装備の確認も、ゲートで行われる
ゲートでは、装備のチェックもあります。防寒着、上下に分かれた雨具、登山に向いた靴がそろっていないと、ゲートを通れません。
写真: Alpsdake / CC BY-SA 4.0
真夏でも、富士山の山頂付近は平地よりずっと寒くなります。山の天気は変わりやすく、風も強い。ポンチョや傘ではなく、上下に分かれた雨具が求められるのはそのためです。
- 上下に分かれたレインウェア:雨具として、そして風よけとして、山小屋に着くまでの体温を守ってくれる
- ヘッドライト:山小屋から夜明け前に山頂を目指すとき、両手を空けたまま足元を照らせる
来年の夏に向けて、いまからできること
2027年のルールはまだ発表されていません。2026年は、4月に予約の受付が始まりました。
- 来年の登山のルールは、春に山梨県や富士登山オフィシャルサイトで確認する
- ご来光を見たいなら、山小屋の予約をシーズン前に押さえる
- 雨具・防寒着・登山靴を、オフシーズンのうちにそろえておく
紅葉の向こうに見える富士山に、来年の夏に登る。その準備は、通行料と山小屋代と装備の分だけ、思い立った日より前から始まっています。
ヘッダー写真: Alpsdake / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)