バンコクで相場より安いトゥクトゥクに乗ってはいけない理由

バンコクで旅費を抑えたいなら、移動はできるだけ安く済ませたいところです。BTSやMRT、配車アプリ、路線バス。そのなかでトゥクトゥクは、値段交渉が必要なぶん割高になりがちな乗り物として知られています。

ところが王宮やワット・ポーのまわりを歩いていると、そのトゥクトゥクのほうから、驚くほど安い値段を持ちかけてくることがあります。お寺を何か所か回って、最後はホテルまで。それでこの値段、と。

相場を知っている人ほど、乗りたくなる値段

節約を意識して下調べをしてきた人ほど、この値段が破格だとわかります。交渉しても下がらないはずの乗り物が、向こうから下げてくる。今日はついている、と思うのも無理はありません。

運転手は感じがよく、行き先の寺の説明もしてくれます。一か所目は本当に寺に着きます。拝観料もかからない、小さな寺です。

二か所目で、行き先が変わる

寺をひとつ見たあと、トゥクトゥクは「ついでに」と言って宝石店や仕立て屋の前で止まります。旅行者の体験談では、「少しだけ店に入ってくれれば、自分はガソリン代の補助がもらえる」と頼まれたという話がよく出てきます。

在タイ米国大使館は、この流れをそのまま注意喚起しています。トゥクトゥクやタクシーの運転手が、頼んだ行き先ではなく特定の店やレストランに客を連れて行くよう雇われていることがあり、宝石店へ直接連れて行こうとする運転手は、店から紹介料を受け取っていることが多い、というものです(U.S. Embassy & Consulate in Thailand, Common Scams to Avoid)。日本の外務省も、王宮やワット・ポー周辺のトゥクトゥクが乗客を宝石店や仕立て屋に連れて行く手口を挙げています(外務省 海外安全ホームページ タイ安全対策基礎データ)。

写真: Marcin Konsek / CC BY-SA 4.0

運転手の稼ぎは、運賃ではない

ここで、あの値段の意味がわかります。運転手にとって、旅行者から受け取る運賃は収入の本体ではありません。本体は、客を店に連れて行くことで店から入る紹介料です。運賃が相場より安いのは、値引きではなく、店に寄ることが最初から料金に組み込まれているからです。

店に入れば、断りにくい空気のなかで高額な買い物を勧められます。何も買わずに出てきても、失うのは半日の観光時間です。節約のつもりで選んだ移動が、いちばん高くつく移動になります。

乗るなら、行き先を一つに決めてから

トゥクトゥクそのものを避ける必要はありません。米国大使館の助言は二つです。行き先ははっきり一か所を伝えること。そして、数バーツ上乗せで観光ルートを回るという誘いは断ること(U.S. Embassy & Consulate in Thailand)。

交渉して少し高くなった運賃のほうが、結果的には安く済みます。店に寄らずにまっすぐ走ってくれる値段が、そのトゥクトゥクの本当の値段です。

もしトラブルになったときは、観光警察の番号1155に電話できます(米国大使館)。

ヘッダー写真: Kevin Poh / CC BY 2.0(Wikimedia Commons)