ニュージーランドに登山靴を持っていくなら、出発前にしておかないと罰金になる準備
肉もチーズも、果物も入っていない。機内で出たおやつも食べきった。だから到着前の申告は、全部「いいえ」でいい——。ニュージーランド行きの荷物を詰めながら、そう考えている人は多いはずです。
けれどそのスーツケースには、去年の夏に北アルプスを歩いた登山靴が入っているかもしれません。ニュージーランドの検疫では、それが、食べ物と同じくらい注意される持ち物です。
「食べ物は入っていない」スーツケースの中身
ニュージーランドの一次産業省(MPI)は、入国時に申告が必要な「バイオセキュリティ上のリスク品」として、食品のほかに使用済みのアウトドア用品を挙げています。泥のついた靴、登山靴、テントやキャンプ道具、使用済みのスポーツ・レジャー用品もこれに含まれます(MPIの申告方法の案内)。
これは形だけのルールではありません。MPIが夏の繁忙期の検疫について発表した資料では、申告されずに見つかって押収された品目のうち、使用済みの登山靴やキャンプ用品が2番目に多かったとされています(MPIの発表)。旅行者の側に「食べ物ではないから関係ない」という思い込みがあることを、この数字はよく表しています。
靴底の土は、目に見えるものだけではない
なぜ靴が問題になるのか。靴底の溝に残った土には、植物の種や、病原菌、害虫の卵がまぎれ込んでいることがあるからです。ニュージーランドは長く海で隔てられてきた島国で、固有の森や鳥が、外から持ち込まれた生きものに弱いことで知られています。
MPIは、登山靴やスポーツシューズ、登山用のゲイター、そして都市部の外で使った靴は、到着前にきれいにして、土や種が付いていない状態にしておくよう求めています。さらに、ウイルスや細菌、カビのように目に見えない汚れもあるため、見た目がきれいでも使用済みの道具は申告の対象になる、とも説明しています(MPIの靴・装備品の案内)。
つまり「洗ったから申告しなくていい」ではなく、「洗ったうえで、申告する」が正しい順番です。
「申告して見てもらう」と「申告せずに400ドル」
申告は、入国前にオンラインで入力するニュージーランド・トラベラー・デクラレーション(NZTD)で行います。入力は無料で、出発の24時間前から提出できます。
ここで分かれ道になるのが、申告したかどうかです。
- 申告した場合:係官が品物を確認します。検査の結果、処分や処置が必要になることはあっても、申告していれば罰金はありません
- 申告しなかった場合:荷物の検査で見つかると、NZ$400の即時罰金、場合によっては起訴の対象になります
MPIは、うっかり申告を忘れた場合でも罰金の対象になりうると説明しています(申告しなかった場合の案内)。到着時には申告漏れの品を捨てられる回収箱(アムネスティ・ビン)も置かれていますが、靴を捨てて歩くわけにはいきません。登山靴やテントは、最初から申告欄で「はい」を選ぶのがいちばん確かです。
出発前夜、玄関で靴を裏返す
検査で困らないために、出発前にやっておきたいことは二つです。
一つめは、靴底の土を落とすこと。溝に詰まった泥は、水で流すだけではなかなか取れません。靴を裏返し、靴底用の泥落としブラシで溝の奥までこすってから水で流し、よく乾かしておきます。ゲイターやトレッキングポールの先、テントのペグやグラウンドシートも、同じように土が残りやすい場所です。
二つめは、荷物の詰め方です。MPIは、申告した装備品は到着時に検査されることがあるので、スーツケースの取り出しやすい場所に入れておくよう勧めています。洗った登山靴を登山靴用のシューズケースにまとめて、スーツケースのいちばん上に入れておけば、係官に見せるときも、ほかの荷物を広げずに済みます。
トレイルの入口にも、同じブラシがある
空港の検疫を無事に通っても、靴の話はそこで終わりません。
ニュージーランドの森の入口では、写真のような靴の洗浄場所に出会うことがあります。オークランド近郊などでは、固有の巨木カウリを枯らす病気(カウリ・ダイバック)を広げないため、トレイルに入る前に靴や道具の土をブラシで落とし、消毒するよう求めている場所があります(MPIのトレッキング時の注意)。
看板には「靴と装備から、見える土をすべて落としてから入ること」とあります。国境で求められることと、森の入口で求められることは、同じ一つの考え方でつながっています。
靴を申告する国
ニュージーランドを歩きに行く人にとって、履き慣れた登山靴は何より大事な装備です。だからこそ、それを「持ち込んでいいもの」にする準備を、出発前に済ませておきたいところです。
靴底をブラシでこすり、取り出しやすい場所に入れ、NZTDの申告欄で「はい」を選ぶ。それだけで、空港でのNZ$400は、払う理由のないお金になります。
ヘッダー写真: Christoph Strässler / CC BY-SA 2.0(Wikimedia Commons)
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