アンコール・ワットに行って後悔しないために知っておくべきこと

「仏日は第三回廊(バカン)に上れない」。アンコール・ワットの旅程を調べていると、この一文に何度も出会います。そこで几帳面な人ほど、カンボジアの仏教暦を探し、月の満ち欠けから仏日を割り出し、その日を避けて遺跡を回る順番を組み直します。

ところが、いま日程を左右しているのは月の暦ではありません。カレンダーに最初から印刷されている、ごく普通の二つの数字です。

月の満ち欠けを数えなくてよくなった最上層

バカンは、中央祠堂を囲むアンコール・ワットの最上層です。急な階段の上にあり、かつては仏日(月に数回ある仏教の祝日)に閉ざされることで知られていました。旅行ガイドや旅行記に「仏日は上れない」と書かれているのは、この時代の運用です。

その後、遺跡を管理するAPSARA機構は運用を改め、バカンを毎日開放すると発表しました。カンボジア国営通信(AKP)の記事が伝えています。仏日かどうかを調べる必要は、もうありません。

ただし、同じ発表には条件が一つ付いています。

14日と28日、午後1時に閉まる階段

APSARA機構によると、バカンは毎月14日と28日の午後1時以降、立ち入りができません。専門家のチームが保存・維持管理の作業を行うためです。

仏日と違って、この日付は毎月動きません。つまり旅程のなかに14日か28日が入っていて、しかもアンコール・ワットを午後に回す予定になっていたら、その日は最上層に上れないことになります。

アンコール・ワットは、朝日を見るために夜明け前に訪れる人が多い遺跡です。その一方で、朝は混むから、正面の西側から光が当たる午後にゆっくり見たい、と考える人もいます。「朝はアンコール・トム、午後にアンコール・ワット」という定番の回り方は、14日と28日に限っては、最上層を見落とす組み方になります。

旅程に14日か28日が入るなら、選択肢は二つです。

どちらにするにしても、日程表をつくる段階で、日付の欄を一度見直しておくだけで済む話です。

上った先にあるもの

急な階段を上りきると、中央祠堂を囲む回廊と、四隅の塔が目の前に迫ります。下の層から見上げていた塔が、手を伸ばせば届きそうな高さにあり、回廊の窓の向こうには、ジャングルの中に延びる参道が見下ろせます。

写真: LBM1948 / CC BY-SA 4.0

窓から差し込む光が、石の床に細い縞模様をつくる回廊には、頭部を失った仏像が並んでいます。この最上層は、もともと王や高位の僧のための聖域だったと言われます。14日と28日の午後に階段が閉じられるのは、その場所を観光客に開きながら、同時に守り続けるための時間です。

14と28に丸をつけてから

仏日を探して暦を読み解くより、旅程表の14日と28日に丸をつけておく。その日にアンコール・ワットを入れるなら、午前に回す。

運用はこれからも変わる可能性があるので、出発前にはAPSARA機構や現地の案内を確認してください。最上層に上れるかどうかは、当日の運ではなく、日程を組む段階でほとんど決まっています。

ヘッダー写真: LBM1948 / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)