スリランカの絶景列車、キャンディから乗る予定の人は要確認

2025年11月下旬、サイクロン「ディトワ」がスリランカを襲いました。中部の山地では土砂崩れが相次ぎ、紅茶畑のあいだを縫って走る高原鉄道(アップカントリー線)も、線路が土砂に埋まり、流され、長い区間で列車が止まりました。

「キャンディからエッラへの絶景列車は、30日前の予約開始と同時に売り切れる」。旅行者のあいだでよく知られたこの話は、2026年9月の時点では、少し前提が変わっています。争奪戦に勝つ方法を探す前に、まず確かめたいのは、その列車がいま、どこからどこまで走っているかです。

30日前の予約画面に、キャンディ発が出てこない理由

スリランカ鉄道の指定席は、公式の座席予約サイトで乗車日の30日前から発売されます。繁忙期には人気の列車がすぐに埋まることで知られ、旅程が決まったら早めに押さえる、というのが定番の助言でした。

ところが、サイクロンの被害は一か所ではありませんでした。スリランカ鉄道局は被災区間ごとの復旧計画を公開していて、アップカントリー線は区間を分けて、少しずつ運行を取り戻してきました。

2026年9月には、コロンボ・フォートからキャンディ近くのペラデニヤまでの列車が「来月に再開する見込み」と報じられたばかりです。キャンディから先、茶畑の町ハットンを経てナヌオヤへ登っていく区間も、ナヌオヤ〜グレート・ウェスタン間の復旧工事は12月の完了を目指していると伝えられています。

つまり、キャンディで列車に乗り、そのままエッラで降りる旅は、いまはできません。予約に出遅れたかどうか以前の話です。

7か月ぶりに汽笛が戻ったのは、峠の向こう側

では、絶景列車そのものに乗れないのかというと、そうではありません。

2026年6月20日、ナヌオヤとバドゥッラを結ぶ区間で、旅客列車の運行が再開しました。サイクロンから約7か月。ナヌオヤ駅では朝9時、読経などの儀式ののちに「ポディ・メニケ」号が出発したと、Ada DeranaやNewsfirstが伝えています。それまではナヌオヤの先、アンベウェラとの間の土砂崩れのために、アンベウェラ〜バドゥッラ間だけの折り返し運転が続いていました。

写真: PIERRE ANDRE LECLERCQ / CC BY-SA 4.0

ナヌオヤは、高原の避暑地ヌワラエリヤの玄関口となる駅です。ここからエッラまでの区間には、スリランカの鉄道でいちばん標高の高い駅として知られるパッティポラがあり、霧の出る草原や、斜面いっぱいの茶畑の中を列車が進みます。エッラを過ぎた先には、写真でおなじみの「ナインアーチ・ブリッジ」もあります。

旅行者が「絶景列車」と呼んできた景色の多くは、実はこの、いま動いている側にあります。

列車の代わりに、山道を登る数時間

いまの状況で絶景列車に乗るなら、旅程の組み方はこう変わります。

キャンディからナヌオヤ方面への道は、低地の古都から高原の茶畑地帯へ、山肌を折り返しながら登っていく道です。列車ならゆっくり揺られるだけの区間を、カーブの続く車内で過ごすことになります。乗り物に強くない人は、乗り物の酔い止め薬を日本から持っていき、出発前に飲んでおくと、車窓の滝や茶畑を楽しむ余裕が残ります。

指定席が取れなかったときの、もう一枚の切符

区間が短くなったぶん、限られた列車に予約が集中することも考えられます。30日前の発売日に出遅れた場合でも、道が完全に閉ざされるわけではありません。

旅行者向けのガイド記事には、2等・3等の自由席券は当日に駅の窓口で買えるという情報が多く見られます。座席の保証はなく、先に乗った人から座っていく方式で、混む時期には立ったまま、あるいはデッキで過ごすことになるという体験談もあります。公式サイトで自由席の販売方法ははっきり確認できなかったため、現地の駅で確かめるつもりで、時間に余裕を持って駅へ向かうのが安全です。

12月の先に、もう一度つながる線路

キャンディ側の区間は、2026年末から2027年初めにかけての復旧が見込まれていると報じられています。予定はずれることもあるので、出発前にはスリランカ鉄道局の復旧状況のページや現地の報道を確認してください。

「30日前に勝てるかどうか」だけを気にして予約画面に張り付くより、いまはどの区間がつながっているかを先に調べる。そのほうが、同じ茶畑の景色に、ずっと確実にたどり着けます。

ヘッダー写真: A.Savin / Free Art License(Wikimedia Commons)