ユーロが使えるスイスで、両替をケチると財布に残るもの

スイスはユーロ圏ではありません。それでも、ドイツやフランス、イタリアと周遊する旅程なら、財布にはユーロが入っています。調べてみると、スイスでもユーロで払える店は多いらしい。それなら、スイスフランへの両替は最低限で済ませよう。手数料もばかにならないし、余らせても仕方がない。

節約を意識する旅行者ほど、こう考えるはずです。そして実際、スイスに着いてみると、駅の売店でもレストランでも、ユーロの紙幣は問題なく受け取ってもらえます。

ユーロで払える。お釣りはフランで返る

スイス政府観光局のヘルプセンターは、大手のデパートや多くの商店、ホテル、レストラン、土産物店でユーロでの支払いを受け付けていると案内しています。そのうえで、お釣りはスイスフランで渡されると明記しています(Switzerland Tourism Help Center「Can I use euros to pay in Switzerland?」)。

スイスの通貨はあくまでスイスフランで、ユーロを受け取るかどうかは店の判断です。受け取る店でも、ユーロの価格は店が決めた換算レートで計算されます。ユーロ圏の隣国から来る人にとっては便利な仕組みですが、日本から来た旅行者にとっては、ここに小さな落とし穴があります。

20ユーロ札で5フランの買い物をすると

たとえば、駅の売店でサンドイッチと水を買う。代金は数フラン。財布にはユーロの紙幣しかないので、20ユーロ札を出す。受け取った店は換算したうえで、残りをフランで返します。紙幣にならない端数は、硬貨で。

スイス連邦鉄道(SBB)の券売機も同じです。SBBの案内によれば、券売機のお釣りはすべてスイスフラン。新しい券売機は99.90フランまで紙幣と硬貨で返しますが、古い券売機は20フランまでを硬貨だけで返すとされています(SBB Ticket Machine)。SBBの車内レストランでもユーロは使えますが、やはりお釣りはフランです(SBB Restaurant 支払い方法)。

スイスフランの硬貨(5フラン、2フラン、1フラン、20ラッペン、10ラッペン) 写真: Exploratorium efimeros / CC BY-SA 4.0

スイスの硬貨には5フラン硬貨まであり、1枚あたりの額が大きいのが特徴です。ユーロで少額の支払いを重ねるたびに、財布の中にはフランの硬貨が一枚ずつ増えていきます。「フランに両替しなくて済んだ」つもりが、実際には店のレートで少しずつフランに両替していたのと同じことになるのです。

その硬貨は、日本に帰ると使い道がない

問題は、旅行が終わったあとです。帰国した翌週、財布の奥にたまったフランを銀行の外貨両替の窓口へ持っていくと、紙幣は日本円に戻してもらえても、硬貨はカウンターの上で押し返されます。

日本の銀行の外貨両替は、多くが紙幣だけを対象にしています。たとえば福岡銀行は、外貨両替のページで硬貨(コイン)は取り扱っていないと明記しています(福岡銀行 外貨両替)。ほかの地方銀行にも同様の案内が並びます。空港などで外貨の硬貨を電子マネーなどに換えるサービスもありますが、額面どおりに日本円へ戻せるわけではありません。

つまり、スイスで受け取ったフランの硬貨は、スイスにいるうちに使い切らなければ、ほとんど持ち帰るだけになります。ユーロで払えば両替が少なくて済む、という計算の最後に、この「使い切れなかった硬貨」の分が残ります。

ユーロは「予備」、支払いはカードかフランで

では、どう準備すればいいのか。

「ユーロが使えるなら両替は少なくていい」は、半分だけ正しい考え方です。ユーロで払えても、スイスはフランの国。その事実は、お釣りの硬貨という形で、最後に財布の中に現れます。

ヘッダー写真: Mike Knell / CC BY-SA 2.0(Wikimedia Commons)