リスボン名物28番トラム、乗る前のひと手間で運賃がほぼ半額に
マルティン・モニスの停留所には、今日も黄色いトラムを待つ列ができています。先頭の車両には「28」と「PRAZERES」の文字。列に並んでいるのは、ほとんどが旅行者です。
アルファマの細い坂道を、窓すれすれに家の壁をかすめながら上っていく28番は、リスボンに来たら一度は乗りたい路線です。切符の心配もいりません。乗るときに運転士に言えば、その場で買えます。小銭を握りしめて列に並んでいれば、順番はすぐに回ってきます。
終点まで乗って、また戻ってくる路線
28番はマルティン・モニスからアルファマを上り、バイシャ、シアードを抜けてエストレラ、プラゼーレスへと向かいます。景色を楽しむために終点まで乗り通し、また戻ってくる。途中で降りてサン・ジョルジェ城やアルファマの路地を歩き、別の停留所からもう一度乗る。旅行者の乗り方は、たいていこうなります。
つまり28番は、一日に何度も乗る路線です。そして、その「何度も」に、乗るときに買う一枚の値段がそのまま積み重なっていきます。
運転士から買う一枚の値段
リスボンのトラムやバスを運行するCarrisは、2026年1月1日から新しい運賃を適用しています。その運賃表で、トラムの車内で買う乗車券(tarifa de bordo)は3.30ユーロです(Carris Novas Tarifas 2026)。
ところが、同じ車両に乗っている地元の人は、乗車口の読み取り機に紙のカードをかざすだけで通っていきます。交通カードにチャージした残高から払う**「zapping(ザッピング)」なら、Carrisの1回分は1.72ユーロ**です。
| 払い方 | 1回あたり(2026年) |
|---|---|
| トラムの車内で購入 | 3.30ユーロ |
| カードのzapping(Carris) | 1.72ユーロ |
同じ車両の同じ座席で、払い方だけでほぼ倍の差がつきます。往復なら車内購入は6.60ユーロ、zappingなら3.44ユーロ。途中で一度乗り降りすれば、差はさらに開きます。二人旅なら、その倍です。
カードは、停留所では手に入らない
zappingを使うには、先に交通カードを用意します。旅行者が使うのは、紙製の**「navegante ocasional(ナヴェガンテ・オカジオナル)」**というカードで、以前は「Viva Viagem」という名前で知られていたものです。カード代は0.50ユーロで、1年間使えます(リスボン地下鉄 Buy)。
注意したいのは、このカードをトラムの停留所では買えないことです。地下鉄の駅の券売機や窓口で購入し、そこでzapping用の残高をチャージしておきます。マルティン・モニスの停留所のすぐ近くにも地下鉄駅があるので、列に並ぶ前に寄っておくのが簡単です。往復1回で、カード代の0.50ユーロは元が取れます。
カードは一枚に一人分なので、同行者がいる場合はそれぞれに一枚ずつ用意します。
列に並ぶ前に、地下鉄の駅へ
28番に乗る日の段取りは、こうなります。
- 地下鉄の駅でnavegante ocasionalを人数分買い、zappingの残高を入れる
- 停留所の列に並び、乗車したら読み取り機にカードをかざす
- 途中で降りて歩いたら、また別の停留所から同じカードで乗る
運転士から買う一枚は、カードを持っていないときの非常手段です。3.30ユーロの一枚も、1.72ユーロの一回も、窓から見えるアルファマの景色は同じです。違うのは、列に並ぶ前に地下鉄の駅に寄ったかどうかだけです。
ヘッダー写真: Nan Palmero / CC BY 2.0(Wikimedia Commons)