ボラカイ島のビーチでビールを開ける前に。旅行者が見落としがちな島の条例

2018年4月、フィリピン政府はボラカイ島を観光客に対して閉鎖しました。長年の無秩序な観光開発で傷んだ環境を立て直すためで、島が再び旅行者を迎えたのは半年後の10月26日のことです。

その再開の日から、ホワイトビーチには新しいルールが敷かれました。砂浜で缶ビールを開け、夕日を眺めながらたばこに火をつける——南国のビーチで多くの人が思い描くこの過ごし方は、ボラカイ島では砂の上ではできません。

再開と同時に、砂浜は「飲まない・吸わない」場所になった

再開前の2018年8月、観光省(DOT)はボラカイ島でのビーチパーティー、喫煙、飲酒を禁止すると発表しました(Philstar)。再開時の報道では、ビーチや公共の場所での飲酒と喫煙は禁止、そのかわりリゾートの敷地内であれば飲むことも吸うこともできる、と説明されています(The Korea Times)。

同じ時期のルールには、ビーチでのたき火や、砂浜の物売り・マッサージの営業の禁止も含まれていました。2019年にも、この禁煙・禁酒の方針は続くと報じられています(BusinessMirror)。

ヤシの木の下にパラソルが並ぶボラカイ島ホワイトビーチ 写真: Patrickroque01 / CC BY-SA 4.0

条例は、回数ごとに重くなる

この「砂浜で飲まない」には、再開より前から町の条例という裏付けがあります。

ボラカイ島を管轄するアクラン州マレー町の議会は、2017年5月、ビーチを含む町内の公共の場所での飲酒を規制する条例を可決しました。Inquirerによれば、違反した場合の罰金は

です(Inquirer, 2017年5月)。それ以前にも同じ趣旨の条例はありましたが、対象はホワイトビーチだけでした。新しい条例は、それを川沿いや町内の公共の場所全体に広げたものです。

罰金額については、その後の改正で初回から2,500ペソ前後とする現地の案内もあり、資料によって幅があります。いずれにしても、旅行者の「一回目」から罰金の対象になる、という点は変わりません。

政府系のフィリピン通信社(PNA)も、ボラカイ島の条例がビーチでの喫煙やごみのポイ捨てを禁止していることを繰り返し伝え、町が「Bawal ang Pasaway sa Boracay(ボラカイでは迷惑行為は禁止)」という呼びかけで観光客にルールの順守を求めてきたことを報じています(Philippine News Agency)。

同じビールでも、どこで飲むかで扱いが変わる

ここで大事なのは、ボラカイ島が「お酒の飲めない島」になったわけではない、という点です。

ホワイトビーチ沿いには、ヤシの木の陰にレストランやバー、ホテルのテラス席が並んでいます。再開時のルールが認めているのは、こうした施設の敷地内で飲むこと。ビーチを眺めながらビールを飲むこと自体は、今もできます。問題になるのは、その一杯を持って砂浜に出たときです。

旅行者が引っかかりやすいのは、この境目のあいまいさでしょう。テラス席と砂浜のあいだに柵があるとは限りません。店で買ったボトルを手に、波打ち際まで歩いていく。コンビニで買った缶を、ビーチタオルの上で開ける。どちらも日本の海水浴場ではありふれた行動ですが、ボラカイ島では条例の対象になりうる行動です。

夕日は、テラス席から見る

ホワイトビーチの夕日を、お酒と一緒に楽しみたいなら、答えはシンプルです。

2018年の閉鎖で島が取り戻したのは、白い砂浜そのものでした。砂の上では飲まず、吸わず、テラス席から同じ夕日を眺める。それがいまのボラカイ島での、いちばん気持ちのいい過ごし方です。

ヘッダー写真: Patrickroque01 / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)